続けるつもりのなかった陸上。陸上部を続けたからこそ身についた「考動力」|藤井優香さん

藤井優香さんインタビュー動画

藤井優香さん

profile

東北地方出身。
陸上競技を高校生の時から続け、1年浪人期間を経た後に
学習院大学文学部でドイツ語を学びながら、陸上の活動と両立。
現在は「地元に貢献したい」という思いから、インフラ関係の企業に勤めている。

藤井

好きだった異文化や外国語を学びに大学へ進学

どのような経緯で進路を決めましたか?

藤井

私は陸上競技がずっと好きで続けていたのですが、高校は特に強豪校でもなかったですし、私自身も強い選手ではなかったので、推薦などではなく一般受験で進学するつもりで勉強をしていました。
小学生の時から異文化や外国語を学ぶことが好きだったので、そういったことが学べる大学に行きたいなと漠然と考えていて、学習院大学に進学しました。
学習院大学は結構こじんまりとした大学で、環境もコンパクトで先生と生徒の距離も近いのではないかと高校生ながら感じていたので、そういう環境に身を置ける方が自分としても勉強もしっかりできるのではないかと思って選びました。

大学でドイツ語を学んで良かったと思うことは何ですか?

私はずっと英語を学んでいたのですが、ドイツ語は初めて学んだ言語だったので、新しいことを学べたことが単純に楽しく、新しい気づきを見つけられたところが良かったです。

大学で学んだことはどのような場面で今の生活やお仕事に活きていますか?

大学の授業は必修科目が多くて、部活動もしつつ、単位も取らなければならないので、スケジュール調整をする力が身につきました。
現在の仕事内容は大学で学んだことと直接関係があることではないのですが、大学ではずっと1つのことを学び続けていたので、その粘り強さは社会人になってからも役立っていると思います。

大学時代を振り返って、あの時やっておけば良かったと思い返すことはありますか?

勉強と部活動の両立をもう少し自分の中で上手く調整して、勉強の方にもう少し力を入れられたら良かったなと思います。
運動部の方で大会などがあると、そっちに自分の気持ちも向いてしまったり、練習も増えるので体力的に辛かったり、勉強をいざやろうと思った時に「今日はいいかな」と諦めてしまう時もあったので、そういった意味ではもう少し勉強を頑張れたのではないかという悔しさがありますね。

大学運動部で求められた「考えて行動する力」

高校時代は大学でもスポーツを続けようと思っていましたか?

高校時代に陸上競技はやり切った気持ちが強かったことと、大学に入るまで1年間浪人をしていて、ブランクもあったので、大学では最初スポーツを続ける予定はありませんでした。
今思うと、大学運動部は高校時代に関東大会や全国大会に行くような人がやるものだと、自分の中で決めつけていたのかもしれません。
しかし「せっかく大学に入って何かやるなら形として残したい」とか「もう少し突き詰めてやってみたい」という気持ちの方が大きいことに気づき、大学でも部活動を続けることを選択しました。
練習は週6日でやっていました。その内の2回は全体で集まってする練習で、それ以外は基本的に個人で練習するのですが、先輩に何をやったか報告をするので、あまりサボることもできなかったですね。

高校の部活動と比べて大学運動部はどんな違いがありますか?

高校まではコーチに与えられたメニューをずっとこなす練習の仕方で、自分たちで考えることをあまり求められませんでした。
しかし、大学に入ってからはコーチはいるものの、そのコーチも教授で授業を兼ねていたので、なかなか練習に来ることはなく、自分たちで考えることが基本でした。ですので、自主性は本当に強く求められました。
私自身、高校まではずっとコーチにやれと言われた練習をこなすことに一生懸命になり過ぎてしまっていて、いきなり大学で「じゃあ自分たちで練習メニューを考えてください」と言われた時はどう組み立てていいかが全くわからなかったので、そういった難しさはありましたね。

様々な人がいるから感じた競技力と意識の違い

大学運動部で活動する中で大変だったことはなんですか?

藤井

大学運動部は私のように体力0の初心者みたいな人もいますし、高校時代に全国大会や関東大会に出ていたような人もいて、選手のレベルの差が結構大きいチームだったんですね。
陸上競技は個人競技なので、正直あまり問題ないのではないかと思っていたのですが、個人競技以外にもリレーなどの団体競技もあるので、リレーでチームを組む際に、個々の競技力の差が出てしまい、そこは正直苦労しました。
運動能力の差以外にも、部活動にかける思いみたいな意識のばらつきもかなり大きくて、「勉強を一生懸命やりたい」という意見の学生もいれば「勉強もやりつつ部活動も同じぐらいやりたい」「部活動に集中してもっと大きい大会に出たい」など、それぞれの意見があったので、そこの折り合いをつけていくのが本当に大変でしたね。
基本的に大学は勉強するところだと私は思っているので「部活動を優先して来い」と言うこともできませんでした。
しかし、所属して同じチームで動いている以上はお互いの気持ちを知ることが大事だと思っていたので、本当に話し合いをたくさん重ねましたね。
解決策として、週2回あった全体練習にはできるだけ参加するように方向性を決めて、残り週4日の練習は、自主練習という形で授業の空きコマを利用して練習するとか、上手く時間を活用できるようアドバイスをしあいました。

競技生活を通じて一番自分を褒めてあげたいことはなんですか?

元々競技を続けるつもりがなかったところから、大学でまた運動部に入って、結果的には関東大会も行けたことは褒めてあげたいです。
よくくじけなかったなと思って。
高校時代までの部活動では「考える」ことをあまりしてこなかったですし、1年間のブランクもあり、高校でもそんなに成績を残せなかった選手だったのですが、大学では先輩方も同期の仲間も、私がいつも練習についていけなくても励ましてくれたり、色んな競技をやる上でアドバイスもたくさんくれて、決して後ろ向きにならない環境で陸上を続けられたことは本当にありがたいなと思っています。
大学時代の陸上競技において悔いは全くありません。
悔いがないと思えるまで突き詰められたというのが、自分の中ですごく大きな経験になり、今の自信にも繋がっているので、ちょっとしたことでへこたれない強さは、大学時代の運動部の経験で得られましたね。

スポーツをやり続けて見つかった研究テーマ

デュアルキャリア(学業と競技の両立)はどのくらい意識していましたか?

私の所属していた学科は、授業数・必修科目がとても多く、予習復習も大事な勉強ばかりでした。
それぞれの科目を取りこぼすと後々大変なことになりますし、自分自身も辛い思いをすると思ったので、単位取得に影響が出ないように意識してやっていましたね。
部活動も最初慣れるまでは本当に大変でしたが、とにかく休める時は休んで、日々の部活動と学業に全力を尽くせるようにしていました。

勉強したことがスポーツに繋がった、スポーツでやったことが勉強に繋がったという経験はありましたか?

藤井

あまり直接繋がったという例はないのですが、大学の卒業研究のテーマが決まらず悩んでいた時に、学科の先生が「陸上競技をしているのだからスポーツ関係の何かを調べることには興味ない?」と提案をしてくれました。
ドイツ語のことで何かあるのだろうかと思っていたのですが、話を聞いてみると、ナチスドイツの時代にオリンピックを開催した歴史があり、その切り口で色々考えて調べてみてはどうかなど、様々なアドバイスをいただけたんですね。
結果的にそれが私の卒業研究のヒントになりました。
卒業研究をするまで、オリンピックはただ単純に「スポーツの祭典を楽しむもの」というイメージで見ていたのですが、スポーツと政治がかなり密接に関係しているということも研究をしていくうちにわかってきて、そういった新しい視点を入れられたことは、自分の中でも良かったと思っています。

これから大学へ進む高校生へ

私自身、高校時代は進路を選んだり、この先の人生を考えるために一番頭を使った時期でした。
その時悩んだ結果として今の自分があるのですが、みなさんにも後悔はしてほしくないと思います。
とにかく自分で考えて、自分で選択したという気持ちがあれば、その先でちょっとつまずくことがあっても「自分が決めたことだから」と言い訳をせずに進んでいけるのではないか、壁に当たったとしても、また違う選択肢を考えて次に進む粘り強さを持てるのではないかと思うので、辛いかもしれませんが、ぜひ自分の将来に向き合って、考え続けてみてください。

 

このページの先頭へ戻る