悩み・苦しみながら箱根駅伝を目指した大学生活|陸上競技|堤拓也さん

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堤拓也さん

profile

千葉県出身。
箱根駅伝を目指し、一般受験で日本大学へ進学、陸上競技部へ入部。
寮生活の中でレベルの高い選手たちと競うプレッシャーもありながら、箱根駅伝への想いをベースに自分の考えに基づいて活動。その経験が今に活きていると語る。
現在は地元の銀行にて営業として活躍中。

憧れの箱根駅伝を目指して日本大学へ

どのような経緯で進路を決めましたか?

高校は地元の進学校で、スポーツがそんなに強くない学校でした。
中学校の頃から陸上競技をしていて、大学では「箱根駅伝を目指したい」という気持ちがあったのですが、スポーツ推薦で進学できるほどの実績はあげられなかったので、一般受験で日本大学に進学して、志願して陸上競技部に入部しました。

日本大学法学部に進学を決めた理由を教えてください。

高校の時に陸上を教えてくれてた先生が、日本大学の出身だったこともあり、自分も同じ道で努力をすることができたら、より楽しいなと思い、日本大学で陸上競技を続けることを選びました。
学部に関していうと、大学スポーツで結果が出せなかったとしても、その後の就職活動の際に「勉強もしっかりやってきたんだな」と企業から見られるような学部に進みたいと思い、次のキャリアを見据えて法学部法律学科を選びました。

社会に出てから気づいた大学での学びの重要性

大学ではどのようなことを勉強されていましたか?

大学の時は単位を取れれば良いと思っていて、そんなに勉強に力を入れていませんでした。
とはいえ、最低限取らなければいけない単位があったので、それを学ぶ中で銀行の仕事にも深い関わりがある法律の知識や金融のことも学ぶことができたので、結果として大学での学びが現在の仕事に活きているので、良かったと思っています。

大学時代を振り返って、あの時やっておけば良かったと思い返すことはありますか?

もう少し英語などの語学を学べればよかったと思う時があります。
理由としては、今の仕事で、法人のお客様や代表者様の中でも海外の方が起業されているパターンもかなり増えてきていて、そういったときに海外のことやそのお客様の祖国のお話ができたらいいなと思ったからです。
お客様が日本語を話せるので言葉は話せなくても大丈夫なのですが、語学だけではなく、海外の文化や風習などを学んでいれば、もう少しお客様と仕事以外でも深く親交できるのではないかと思っています。

高校とのレベルの違いに驚いた大学運動部

高校の部活動と比べて大学運動部はどんな違いがありますか?

高校の部活動では、地元の高校だったこともあって、知っている友人とある程度自分の裁量の中で頑張れましたが、一方で大学は、プロになりたいもしくは在学中からプロになってる人がいる中でのトレーニングの日々だったので、レベルが全然違いました。
また、高校までは自宅から通って自由な時間も多く取れたのですが、大学では4年間寮生活だったこともあり、生活も管理されながら、自分とはレベルのかけ離れた選手たちと一緒に練習するプレッシャーもあったので、苦しい気持ちが多かった4年間でしたね。

大学の陸上競技ではどんなことを工夫していましたか?

大学ではただ練習をするだけではなく、体のケアや食生活も気にしながら運動していました。
疲労が溜まっているかどうかをトレーナーやコーチと話し合いながら「練習はこの時期は抑えておこう」とか「怪我が治って間もない期間は練習量をこの程度にしよう」と決めていました。
科学的な側面からより早く疲労が取れる方法をチームの中で共有していたので、スポーツをしている時間だけじゃなくて、生活自体が大きく変わりましたね。
また、走る時の癖によって痛みやすくなる箇所を把握するなど、選手それぞれが自己分析をかなりしていたと思います。
私の場合は高校の時に1500メートルや800メートルを走っていたこともあって、スピードはあったと思うのですが、弱みとして体のバランスや体感があまり強くなかったので、腰や足が痛くなったりとか、ケガをする場所にも偏りがありました。
そういったこともコーチと話しながら、練習が終わった後にチームメートと一緒に時間を合わせて筋力トレーニングをしたり、室内でのトレーニングをしながら、自分のウイークポイントはなるべく無くせるように努力していました。

ケガと戦った4年間。厳しかったメンバー争い

大学スポーツで辛かったこと、困難に感じたことはなんですか?

ケガをしていた期間は辛かったですね。
高校の時は狭い輪の中でやっていたので、大学のメンバー争いはより厳しく感じました。
メンバーに選ばれないと、良い練習にも参加できないですし、そういった良い練習の効果が顕著に記録に出るスポーツでもあったので、自分が周りより記録が劣る上に良い練習にも参加できないから差もどんどん開いていくという状況でした。
だからといって、努力や失敗は「すればするだけいい」というわけではなくて、自分の体のことがわかってないと、結局オーバートレーニングになってしまい、ケガをして、さらに練習できない期間が増えてしまうんですね。
私はケガをしている期間も長かったので、そこが早いうちにわかっていれば、もっといい成績を収められたんじゃないかなと思っています。
ケガをしている期間は辛かったのですが、それを乗り越えるために、筋力トレーニングなどの走る以外のできることを行い、周りと差をつけられないように時間を有効に使おうと努めました。

大学スポーツで学んだことはどのような場面で今の生活やお仕事に活きていますか?

辛い中でも陸上競技を続けた経験があるからこそ、今目の前の仕事を一生懸命できています。
目の前の仕事に一生懸命になれるのも大学時代に頑張ったからだと思えるので、苦しいこともあったのですが、辛い経験をポジティブに捉えて、社会人で過ごせてるから結果良い部分もあったのだなと思っています。
また、仕事をしていると、辛いことや失敗をすることもあるのですが、振り返ってみると、その理由は自分の準備不足や相手のことを理解できていないことがほとんどでした。
それはスポーツも同じで、練習は試合に向けた準備だと思っているので、今の仕事と多少通ずるものがあるのかなと思います。

人から感謝される仕事ができる喜び

大学卒業後の進路はどのように考えていましたか?

スポーツの実力も伴わなかったので、就職活動にも力を入れて、お給料などの条件も良い、安定したところに入りたいなと思っていました。
特段、銀行員を目指していたわけではなかったのですが、地元の企業で働きたいという気持ちがあったので、それは地方銀行に入ったことで実現できました。
私は銀行で営業をしているのですが、お客様に対して何ができるだろうとか、こういった切り口で話したら喜ばれるのではないかなど、どうすると人のためになれるかを考えながら仕事ができているのは、ポジティブな要素になっていると思います。
色々な切り口から提案をして、最終的には「お客様に感謝される仕事をしたい」という気持ちがあり、実際に「ありがとう」と言われることも多いので、やりがいを感じています。

大学で部活動をすることにはどんな意義がありますか?

目の前のことに精一杯努力できる、全力傾倒することができるのは、大きな意義だと私は考えています。
「箱根駅伝までスポーツを続けたい」という自分のベースがあったので、ある程度納得いくまでやりたいことをやりきったという気持ちが自分の中にあり、それが1つの自信になっています。

これから大学へ進む高校生へ

学校生活はスポーツだけではなく、勉強も恋愛も、色々あると思うのですが、今目の前にあることを目一杯楽しんでほしいです。
色々なことを思い切りやると、「こういうことに向いてるな」とか「こういうことが好きなんだな」ということに気づきますし、逆に「これぐらいでいいかな」とか「違うことをやりたいな」など、新しい発想がたくさん出てくると思います。
年齢を重ねるとできることが限られてきてしまうと思うので、ぜひ目の前にある生活の中から楽しみを見つけて、充実した日々を過ごしてください。

 

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