「問う力」で自分が変わった。チームに尽力した大学時代|水泳|立入啓浩さん

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立入啓浩さん

profile

京都府出身。
「チームで戦う」経験をしたいと、大学水泳部に入部。異なる意見のチームメイトとぶつかりながらも、「全国大会に行きたい」という想いで、熱量を持って部活に取り組む。
大手銀行を経て、現在は株式会社 コーチ・エィにて活躍中。

「チームで全国に行くこと」が原動力だった水泳部

1冊の本で変わった意識とまとまり始めたチーム

大学スポーツで困難だったこと、それをどう乗り越えたか教えてください。

高校の練習内容は強豪校と遜色ないくらい厳しかったんです。
週6日練習をするのは当然。練習をサボるなんてもってのほか。ギリギリまで追い込めば勝ち。そんな価値観だったんですよね。
しかし、京都大学の水泳部の人は大学受験という難しい壁を自分なりに工夫して乗り越えてきて、部活動も並行してやってきている人たちばかり。「練習は週2日で、休息が大事なんだ」「楽しければいいじゃん」と、様々な考えの人がいました
それでいいのにもかかわらず、私は「体育会水泳部で速くなることに責任を持てないのであれば、サークルに行けばいいじゃないですか」みたいなことを言っていました。
そしたら、当然ですけどチームメイトに嫌われました。
でも「俺は正しいこと言ってる」と思っていたんですよ。私は厳しい練習、追い込みをすることで速くなってきた自負もありましたし、京大の中では自分が1位を争うぐらい練習に行って頑張っている自信もあったので。

そんな時、あるコーチングの本(「コーチングが人を活かす」)を読んですごく驚いたんです。
「その人にはその人なりにそこにいる意味がある。問うことによって、その人が変わり得るんだ」と書いてあって。「伝える」のではなくて「問う」ことで人が動くんだ、ということが衝撃でした。
実際にやってみたんです。「この間は強く言い過ぎたかもしれない。水泳部にいたい理由があるんだったら教えてほしい。僕も変わるように頑張るから退部するんじゃなくて、もう少しだけ一緒にやってほしい」と部員に伝えました。
実際、辞めた人もいましたし、私への見方が変わらなかった人もいるかもしれません。でも私からみんなへの見方は変わり、相手を尊重するようになりました。

大学スポーツで学んだことはお仕事のどのような場面で活きていますか?

お客様の中にも「自分1人でやった方が早い」と思われているリーダーの方がたくさんいらっしゃいます。部活での経験から、そうではない視点を私から伝えることができます。
また、周りをうまく活かせるのかどうかという観点で考えると、自分自身、人と一緒に協力するのは得意な方だと客観的に思うんですよね。そこに気付けたことは、すごく今の仕事に活きていると思います。

自主的に学ぶ上で大切な「師匠を1人見つけること」

大学時代を振り返って、あの時やっておけば良かったと思い返すことはありますか?

水泳ではやりたいことを見つけられたと思うのですが、学問を通じて「これを実現したい」とか「これを証明したい」ということを見つけられませんでした。
とりあえず京都大学に行きたかったので、工学部の中でも自分が入りやすかった工業化学科に進んだのですが、本当に自分が興味を持てそうな学部を選んだ方が良かったなと思います。
工業化学科で研究することはミクロの世界だったのですが、自分としてはどうしても興味が湧きにくくて。例えば車を走らせようとか、飛行機を飛ばそうとか、そんなことを学べる物理系の学部に行った方が良かったなと思います。

高校時代に大切にしていた軸を教えてください。

師匠を1人見つけること」です。
水泳だったらこの人についていく、勉強だったらこの人についていくというのを見つけると良いなと思います。
私の感覚では、どの参考書、勉強法を取り入れたとしても結果は大して差がないと思います。だから、「この人の言っていることはなんとなく好きだな」とか「この人の雰囲気が好きだな」という師匠を1人見つけて、その人の真似をして、アドバイスをもらうことが大事だと思っています。

これから大学へ進む高校生へ

大学に行くべきだとか、高卒でもいいんだとか、周りにはいろんな意見がありますし、「このままスポーツやってていいんだろうか」と不安になることもあると思います。
ですが「自分の人生の責任は最終的に自分しか取れない」んですよね。これは私も大切にしている言葉で、自分の人生のオールぐらいは自分で持とうと常に思っています。
ですので、もしちょっとでも「やりたいな」とか「こうしたいな」と思ったら、自分の心の声に正直になって、そこに突き進んでいってください。

 

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