奥田朋子さんインタビュー動画
profile
岐阜県出身。
中学から柔道を始め、立命館柔道部の副キャプテンとして活躍。
30歳からボクシングを始め、37歳で「WBO世界スーパーフライ級王者」「OPBF東洋太平洋&日本バンタム級王者」に輝く。
現在はボクサーをしながら、通信制高校の教師・スクールカウンセラーとして勤務している。
逃げた自分を後悔しないために、立命館進学を決意
どのような経緯で進路を決めましたか?
どこの大学に進学しようか迷っていたときに、立命館の監督から声をかけてもらったので立命館への進学を決めました。
迷っていた理由ですが、大学でも柔道を続けるかどうかで悩んでいたからですね。
練習はキツく休みもなかったので、本当は高校で辞めようと思っていたのですが、高校3年生のときに開催された大会に手を骨折して出られなかったんです。
当時は柔道を辞めたかったので、「試合に出れなくて良かったかもしれない」と少しでも逃げた気持ちを持ってしまった自分に引っかかりました。
このままでは後悔するという気持ちと、元々教師になりたいという気持ちがあったので、立命館に進学することにしました。
大学卒業後にスポーツを続けることは、高校生のときから考えていたのですか?
高校生のときは教師になって、柔道部の顧問になるということを考えていました。
当時は選手として活躍することは考えていなくて、今まで柔道から学ばせてもらったことを次世代の子たちにも柔道を通して伝えられたらなと思っていたからです。
競技生活に役立った“自律訓練法”との出会い
大学時代に学んでおいて、今でも良かったと思えることはありますか?
自律訓練法という技法は学んでおいて、今でも良かったと思っています。
自律訓練法は緊張を解きほぐしたり、リラックスしたいときに使う技法なのですが、私は高校生のときに試合で緊張してパフォーマンスがうまく出せなかったんですね。
それがこの方法を取り入れてからは、結果も付いてくるようになりました。自律訓練法は今もずっとやっているので、学んでおいて良かったと思っています。
大学時代を振り返って、あの時やっておけば良かったと思い返すことはありますか?
心理的な知識や教育のことを身につけたかったので、もっと本を読んでおきたかったですね。
今は本を読もうと思ってもなかなかできないので、今よりも時間のある当時に本を読んでおきたかったというのは漠然と思っています。
高校の部活動と比べて大学運動部はどんな違いがありますか?
高校の練習は休みもなくかなりキツかったので、正直「しんどい練習だけどやらないといけないから」と少し受け身になっているところがありました。
ただ、大学の練習は休みもできて多角的に自分を見れるようになったからか、自主的にする練習に変わっていったと思います。
「自分にはここが足りてない」「逆にここが良いところだから伸ばそう」など、ジムのトレーナーさんとも相談しながら、前向きにやっていけるようになりました。
メンタルの“練習”を取り入れたことで、競技成績の向上につながる
大学で競技を続ける上でどのような壁や困難がありましたか?
高校時代からにはなりますが、試合になると力を発揮できないという課題は常に持っていました。
他校の強い選手よりも、私のほうが実力は上なのに試合では勝てないというのは思っていましたし、実際に先輩からも言われていました。
そこから自分で研究して試行錯誤していく中で、先ほどもお伝えした自律訓練法を学ぶことで大会で成績を残せるようになっていきましたね。
自律訓練法は、具体的にはどのように体に作用するのですか?
自律訓練法は、体がリラックスしている状態を意識的に作るための方法です。
人間は両手両足が温かくて、心臓がゆっくり規則正しく打ってる。そして呼吸も楽にゆっくりできてて、みぞおち辺りも温かくて、額がちょっと涼しいことが人間のリラックスしてる状態になります。
この状態に持っていけるように、自己催眠で誘導していくための練習をするというわけですね。
たとえば今はボクシングジムでボクシングを練習して、家では自律訓練法のメンタルの練習をするという形で身につけています。
後悔のない大学時代。目標を持って進学することの重要性
大学や競技生活を通して褒めてあげたいこと、後悔していることはありますか?
大学時代に後悔していることはなくて、大学の4年間は勉強と柔道と恋愛と遊び、すべて一生懸命できていたなって思っています。
今の私から当時の自分に言いたい事はいろいろありますけど、あのときなりに一生懸命できていたことを褒めてあげたいですね。
大学で学んだことはどのような場面で今の生活やお仕事に活きていますか?
大学に限らずですが、中学から続けてきた柔道で人間形成をすることができたと思っています。
柔道を通して学んだ「人間関係の構築」「上下関係の厳しさ」「言葉遣い」「実行力」など、これらの社会で必要な基盤は私の人生で役立っています。
大学に行くこと、大学で部活動をすることにはどんな意義がありますか?
大学だからこそできる勉強や恋愛、遊びにスポーツなどをすべて経験できるところでしょうか。
あとは大学でスポーツをしたいと思っている子は、大学に進学するのが一番環境も整っているのかなと思います。
教育現場なので運動場や体育館が揃っていることはもちろんですが、試合に出られる環境を手に入れたり、競技の仲間を作ることもできます。
今は人生の選択肢が多くなっているので、行かない選択をするのもありだと思いますが、私は行ってよかったのですごくおすすめしています。
大学に行くか迷っている子に、もしアドバイスがあれば教えてください。
私は行ってよかったので大学をおすすめしていますが…。ハッキリとした目標がないのであれば、大学に行かずに働いてみて、ハッキリとした目標ができてから大学に行くこともおすすめしています。
ただ、「大学の大会に出たい」「同世代の競技仲間を作りたい」と思っていて、挑戦したい競技があるなら行ったほうがいいですね。
私は教員免許を取得したいという目標もあったので、このような目標があることも必要かなと思います。
ハッキリとした目標がなければ、少し厳しいかなとも思いますね。
これから大学へ進む高校生へ
私がそうだったからといって、皆さんに当てはまるかわからないですが「欲張りにいろいろ挑戦してほしいな」っていうこと。あとは実際にやってみないと、自分に合ってる合ってないはわからないので、とりあえず何かに挑戦してから決めてほしいですね。
挑戦した先に道は開けるものなので、「まずはやってみないとわからない」っていうところは伝えておきたいかなと思います。